生きざま 柴錬歴史譚
柴田錬三郎/ 集英社 1983/12出版
◇◆ 推薦 高木さん
彼をまさしく、勝海舟らよりワンランク上の人物として位置づけておりました。
柴田氏は虚実を取り混ぜてものする小説家であるために、よりドラマチックな事変、人物を好む傾向があるようにえますが、最後の将軍徳川慶喜などは軽蔑するとさえ言い切っております。現代社会で最も少なくなった種類の人間像、求められる人間像は、潔い人間、自己を犠牲にできる人間と考えます。司馬遼太郎氏が坂本竜馬を世に出したように、小栗こそは今世に出すべき群馬県が抱える偉人と改めて感じました。NHKドラマ化もさる事ながら、その評伝をもっと世に広めるべきと思います。言うべき時に身を賭しても言う、名利にこだわらない、かつ合理的な見識も実行するという小栗のような人物も時代の波には抗しようもなく、勝てば官軍、の圧力に断罪に帰せられました。現代に生きる自分にそれができるのかと問われても即答しかねますが、子供たちには一度は話を聞かせてやりたいと思いました。