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2010年3月25日 (木)

非売品『幕末維新人物夜話』 福田嘉文著

Hukudabook はしがき より

「歴史は勝者によってつくられる」という有名な格言がある。これは古今東西共通の真理であるが、日本の明治政府はこれを実に見事にやってのけた。

 新政府の最大の仕事のひとつは、明治維新の正当性を証明する「歴史」をつくることであった。「江戸時代は人民が抑圧されていた暗黒の時代であり、明治は日本の夜明けである」、あるいは「朝敵である徳川を倒し万世一系の天皇を戴く新国家をつくった薩摩・長州こそが正義の担い手である」ということを徹底するためにあらゆる手段を講じた。

 このようにしてつくられた史観が、「薩長史観」あるいは「皇国史観」と呼ばれるものである。わが国の歴史教育は、太平洋戦争終了までこの史観によっておこなわれた。

 新政府にとって都合の悪い事実や人物は、歴史から抹殺された。そのための最も有効な手段は、教科書に載せずまた学校で教えないことである。これより、歴史上大きな功績を残しながら新政府にとって好ましくない人物は、一般大衆にあまり知られないというこになったのである。

 信じられないであろうが、今でも知っており歴史上の人物では人気第一位を争う坂本龍馬は、新政府から無視されたこともあって、明治以降太平洋戦争後に至るまで大衆的な知名度・人気はあまり高くなかった。龍馬は、幕末に和平革命を主張したため武力倒幕派の薩長から嫌われ、そのため暗殺されたのだという説もある。龍馬の現在の人気は、昭和四十年代に司馬遼太郎が『竜馬がゆく』を書き、これがNHK大河ドラマになってからつくられた物なのである。(つづく)

 『竜馬がゆく』は1962~1966年に連載さましたが、1989年に『「明治」という国家』が同著者によって書かれています。

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