今日は不動様
不動様の姿は岩の上にしっかりと立ち、左手に索(つな)を、右手に剣を持ち恐ろしい形相をして睨んでる。インド教の神の一名を密教にとり入れ仏教化したもといわれ、密教では不動は大日如来の使者で、仏が一切の悪魔を調伏するため身を忿怒身に変じ、左手の索は悪魔を引き寄せ、右手の剣は迷いと恐れを断ち切る力を示すと説く。
不動信仰がいつごろこの村に入ってきたか明らかでないが、隣村室田の滝不動は、古文書の示すところによれば中世のころ創始された模様である。本村地方にもこのことから不動信仰が伝わって来て、各所に不動様が祭られたものと考えられる。そしてそれを伝えたものは密教を奉ずる山伏・修験者であったであろう。川浦地区では不動様の祭神は日本武尊だといっている。現在村内の相吉・水沼中郷・中尾・鍛冶屋・山田・長井・桑本・坊峯には不動堂があり、また細入・関沢・上下道・梨本・赤竹・矢陸・月並などには石像や石宮があって不動様をまつっている。(倉渕村誌)